就職ナビからのアドバイス
入口でスキルや適性を重視し、非同質型人材を求めたのなら、その姿勢を最後まで貫き通さなければならない。
個性や専門性を活かすような教育や配属はもちろん、とくに彼らがその後歩んでゆくキャリアパスも採用システムと整合性をもったかたちで複線化しておくことが必要だ。
採用に限らず、あらゆる人事機能は一つ一つを独立して整備しても意味がない。 お互いに影響を与え、連関してくるものなのだから、人事制度全体を一貫性のある考え方で構築することが肝心である。
中途採用を積極的に行う場合も、入社後のフォローが運用上の大きなポイントになる。 現実にはまだ年功序列的あるいは大家族主義的なカルチャーが企業内に根強く残っているため、途中入社組は評価や処遇の面でハンディを負いやすい。
入社当初は転校生的な心理的プレッシャーも小さくないだろう。 中途採用を行うのであれば、このハンディを消す工夫、あるいは最小限度に軽減するような工夫を施さなければならない。
そうしないと、もともと既存の社員とは非同質型だった人材が、会社に溶け込むために同質化する方向に向かってしまう。 その結果、中途採用を通して異質な文化や優れた才能を取り込みイノベーションの起爆剤として活用し、より組織の活性化を図ろうとした目論見が水泡に帰すことになってしまうのだ。
現実に中途採用者が生き生きと働いている会社のケースを見ると、ハンディを取り除くというより、むしろ逆差別的な処遇さえ必要なのではないかと思えてくる。 たとえばアメリカ社会がマイノリティに対して行っているような処遇、つまり「彼は中途採用だから少し甘く見てあげよう」という対応をしてもかまわない。
もちろん最後まで甘く見る必要はないが、たとえば会社に慣れて完全に定着するまでの三年間は、既存の社員より有利な評価や報酬を与える。 それぐらいのことをして初めて、異質の人材を外部から取り込んだことが生きてくるのである。
人事制度においては、評価機能が他のすべての制度を規定するコントロールタワーになる。 この評価システムをいかに合理的に構築し、どれだけ適正に運用できるかによって、人事制度すべての有効性が決まるのだ。
とくに報酬、異動・昇進、教育の内容は評価体系によってダイレクトに規定されるわけだから、適材適所やモチベーションの高揚を図る上で最も重要な機能だといっていい。 評価の結果は代謝のための判断材料にもなる。
終身雇用・年功序列的な考え方が通用しなくなった以上、誰を残して誰を代謝させるかという判断は客観的な評価に基づく以外にない。 そういう意味でも、評価機能は人事全般を見渡して各機能を有機的に結びつけるコントロールタワーの役割を担っているのである。
ところがマニュアルレーバーの時代の人事制度というのは、極端にいえば評価を放棄した状態は、業務の達成度と必要なスキルを的確に把握する評価項目をジョブごとに設定し、業績と能力を客観的に評価する必要がある。 章でも簡単に述べたが、評価機能とは実は二つの項目から成っている。
業績評価と人事考課である。 業績評価とは、セクション単位で与えらだった。
報酬、異動・昇進、教育などが、すべて勤続年数によって自動的に決まったため、個別に評価する必要がなかったのである。 もちろん建前として業績評価や能力評価を行う制度は存在していたが、これからのあるべき姿と比較すると建前的なものにすぎなかった。
むしろ従来の大家族主義的なカルチャーの中では、一人一人の社員を個別に評価すること自体がタブーだったのだ。 そういう評価機能を司令塔として再構築するのは容易なことではない。
しかし、そのタブーを打破していかなければ企業の未来はないのである。 もし従来の評価が何かしらの役割を果たしていたとしたら、全員に同じ処遇を与えるための方便でしかなかった。
たとえ個別の業績を評価対象にしていても、「彼はたしかに仕事はできるし業績も上がっているが、勤務態度にさらに改善すべき点が見られる」とか「仕事の要領は悪いけど、彼はなかなか一生懸命に取り組んでいる」といった具合に、評価のプロセスを窓意的に操作することによって、結果として全員が同レベルの評価を受けるような仕組みになっていたのである。 事業目標の達成度に対する評価。
一方の人事考課とは、一人一人の事業に対する貢献度と能力を評価することだ。 この両者をきちんと有機的にリンクさせることが、事業の戦略的展開に個々の人材がどれだけ寄与・貢献したかということを把握するために不可欠である。
従来の人事システムの中では、この両者がそれぞれ独立していた。 業績評価は決算予算管理というかたちである程度は行われていたが、人事考課のほうは年功序列の枠組みの中で別物として行われていたというのが実態である。
業績評価と人事考課が別々に行われていると、会社の事業展開の中で個別の人材がどの業務においてどれくらい貢献したか、またその業務に必要なスキルにおいてどれくらいの能力を有しているのか、ということが正確には見えてこない。 これでは的確な事業戦略を立案することも、そのために必要な人材の配置も判断できない。
そもそも人事考課の際に着目するポイントは三つある。 情意、業績、能力だ。
いうまでもなく、従来までは三つのうちでも、とくに情意による考課が中心だった。 「だけど彼は一生懸命に取り組んでいる」という部分が、この情意による評価に当たると考えればいいだろう。
これからは情意のウエイトが大きく下がり、業績と能力に着目した評価が中心になる。 情意の内容も大きく変わってくる。
集団モラル維持に役立つ協調性や減点の対象にならないようにするための真面目さより、積極的にチャレンジする姿勢を持っていることが情意の部分で評価されるようになるべきである。 業績や評価に関しても、ただ結果として残った数字的な要素を見るだけではいけない。
たとえ数字は他の者と比較して低くても、本人の前年の成績と比較して大きく伸びていれば、それなりの評価を与えるべきだ。 とくに能力の部分については、本人の「伸び率」を重視していい。
個別の業績や能力を客観的に評価して差をつける以上、考課基準をいまより客観化し、オープン化することも必要である。 秘密主義に基づいた不透明な評価によって差をつけられたのでは、下位にランクされた者は納得できない。
客観的な評価基準をあらかじめ明示されていれば納得性が高まるし、納得すれば自分の業績に対して責任を持たざるを得ない。 どれだけの実績を残せばどういう評価を与えられるかが事前にわかっていて、しかもその評価基準に社員が納得していることがきわめて重要なのだ。
個人の能力が会社の業績を左右するヒューマンワークだからこそ、各々が責任の所在を明確に認識して自分の業務に取り組むことが求められるのである。 セクションごとの業績目標を個人にブレイクダウンして管理し、その達成度を評価の基準にするシステムとして、MBO(目標管理制度)と呼ばれるものがあることは章でも述べた。
残念ながら現状では一律横並びの年功序列型カルチャーに基づいて運営されているため、最終的な評価の段階で全員に平等な点を与えるという誤った用法が多いが、適正な運用さえなされれば理論的にはきわめて大きなメリットをもたらすシステムである。
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業績評価と人事考課である。 業績評価とは、セクション単位で与えらだった。
報酬、異動・昇進、教育などが、すべて勤続年数によって自動的に決まったため、個別に評価する必要がなかったのである。 もちろん建前として業績評価や能力評価を行う制度は存在していたが、これからのあるべき姿と比較すると建前的なものにすぎなかった。
むしろ従来の大家族主義的なカルチャーの中では、一人一人の社員を個別に評価すること自体がタブーだったのだ。 そういう評価機能を司令塔として再構築するのは容易なことではない。
しかし、そのタブーを打破していかなければ企業の未来はないのである。 もし従来の評価が何かしらの役割を果たしていたとしたら、全員に同じ処遇を与えるための方便でしかなかった。
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一方の人事考課とは、一人一人の事業に対する貢献度と能力を評価することだ。 この両者をきちんと有機的にリンクさせることが、事業の戦略的展開に個々の人材がどれだけ寄与・貢献したかということを把握するために不可欠である。
従来の人事システムの中では、この両者がそれぞれ独立していた。 業績評価は決算予算管理というかたちである程度は行われていたが、人事考課のほうは年功序列の枠組みの中で別物として行われていたというのが実態である。
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